高田みち子
これはほぼ衝動買いです。先月のMM誌で好意的にレヴューされてたのは覚えてましたが、個人的には普段試聴器目一杯荒らして立ち去ることが多いJ−POPのコーナー、まさかこれ買うのと思いつつもシャレたジャケに「遊びませんか?」と誘われた気がして、騙されたと思ってレジへ。
結果、騙されるどころかもう非の打ち所の無い完璧なシティ・ポップ・アルバム、最高です。アルバム・タイトルも秀逸、曰く「TOKYO GIRLS TALK」。東京に暮らす大人の女の心の機微を、70年代AOR風サウンドに乗せて淡々と綴る、みたいな。したがって人によっては古臭いと感じるかもですが、そんなことどうでもいいほどに、ため息が聴こえてくるような艶やかな歌声と泣きたくなるような切ないメロディとで、気品に満ち溢れた独自の歌世界を披露してくれます。
70年代、田舎者の自分は荒井由実をはじめとするニュー・ミュージックなるジャンルが正直苦手でした。いや正確に言えば、苦手と無理矢理思うようにしてました。恐らく、都会への憧れが嫉妬を媒体として反発へと姿を変えた、そんなことだったのだと思います。時は流れて30年以上の東京暮らしを経た今となって、ようやく曲がったヘソも直り、このアルバムのようなシティ・ポップも素直に聴けるようになった、のかもしれません。
本作が3rdアルバムのようですが、これはもう前作も手に入れなくては。惚れちゃったのかな、オレ(笑)。
南佳孝と高田みち子。自分の中で今日完全にセットになりました。ジャンル、星降る夜の屋上系。何じゃソレ?
March 19, 2008 01:48 AM
ビッグ・バンドよ永遠に!
マイミクBoomy−Manの日記で、名ビッグ・バンド東京ユニオンを率いた高橋達也氏が亡くなったそうです。昨年暮れのニュー・ブリードを率いたダン池田氏、今年始めのスイング・ビーバーズを率いた小野満氏と、わずか二ヶ月のあいだに3人の名バンド・マスターが旅立ったことになります。
因みに他の有名どころを調べたところ、スカイライナーズの踊るバンマススマイリー小原氏が1984年没、東京パンチョスのチャーリー石黒氏も同じ1984年没、東京キューバン・ボーイズの見砂直照氏が1990年没、ノーチェ・クバーナの有馬徹氏が1993年没、でした。
ニュー・ハードを率いた宮間利之氏はお元気のようですが、すでに2006年に現役は引退。となるとビッグ・ネームで活躍中なのは、シャープス&フラッツを率いる原信夫氏くらいなのではないでしょうか(美空ひばり「真っ赤な太陽」の作曲者としても有名)。自分が知らないだけで見落としがあるかもしれませんが、とにもかくにも時代の流れを感じます。
といってもこれらのビッグ・バンドに、個人的に強い思い入れがあるわけではありません。これらのバンドのほとんどは1950年前後の結成、戦後のジャズ・ラテン・ブーム華やかかりし時代を背負って立った人たちで、53年生まれの自分はその活躍ぶりなど知る由もなく、ようやく60年代になりTVで歌謡番組を見るようになってからその存在をおぼろげに認識し出した、って感じ。そして70年代ジャズにハマった折に完全後追いで少しレコード集めた、そんな程度でした。
しかし考えてみれば少なくとも20歳以上の日本国民は、洋楽とクラシックしか聴かんという偏屈者を除けばTVにしろ音楽にしろ、みんなが何処かで何らかのカタチで彼らのサウンドを耳にしてるハズ。その匿名性の高い存在があればこそ、昭和歌謡からJ・POPへの豊かな流れが創られたことを思えば、日本のポピュラー・ミュージックを語る上で地味ながらも最も重要な役割を担ってきたジャンル、と言えるのではないでしょうか。
それともうひとつ、彼らこそが日本におけるワールド・ミュージックの種子をとりあえず辺り構わず撒き散らした張本人としての功績。服部良一氏の偉業とともに、まさに国民栄誉賞ものだと思います(笑)。
いま見砂直照と東京キューバン・ボーイズをBGMにこの日記書いてますが、ちょうど「城ケ島の雨」が聞こえてきました。見事なラテン・アレンジで楽しませてくれます。
心よりご冥福をお祈りいたします。
March 1, 2008 09:09 PM