国境の南 world music & bar

DIARY

March 2008>>

ADELE

アデル。サウス・ロンドン出身の新人、御歳し19歳だそうです。先日FMでかかってたのを聴き、そのエイミー・ワインハウス的な声が自分のストライク・ゾーンど真ん中だったので、早速レコ屋でチェック。やたらムーディな顔ジャケを見つけて、さぞや美人さんだろうと思いつつライナーを捲れば、「えっ、ウソ!これってお母さん?」みたいな写真が(笑)。念のためYOU・TUBEで確認したところ間違いなく、本人でした。エイミーの倍は横幅がありそうです。ライヴの映像とか、グランド・ピアノが正方形に見えるくらい横幅絞ってあります(笑)。若いから気にしてるんでしょう。スナック菓子食いながらダイエット記事読んでるタイプとみました。

というワケでヴィジュアル的にはマンマと騙されましたが、音楽はもうバッチリ自分のツボにきました。何か、ソウルのようでありロックのようでありジャズのようでありフォークのようでありポップスのようであり、そしてそのどれでもない、みたいな不思議な感じです。おそらくアデル自身が、いろんなジャンルの音を小さい頃から脈絡なく自由に聴いてきたことの、これは自然な反映ということなんでしょう。過去の音楽遺産へのリスペクトとか、そういう重い話じゃなくて、「ここはジャズっぽいベース入れて、ここはキャロル・キングっぽくピアノで、ここダルいからモータウン・ビートで行こか」みたいな軽いノリでレコード作ったら、こんなん出来ましたって感じではないでしょうか。

先のマーズ・ヴォルタにしても基本的な姿勢は、まったく同じような気がします。ポスト・ポピュラー・ミュージックみたいな感じの、古くて新しくて面白い音楽がこれからいろいろ生まれてくる予感がします。ハズレたら、ごめんなさい(笑)。

気のせいかもですが、ここのところ断然女性シンガーの活躍ばかりが目につきます。レコ屋覗いてもメアリ・j・ブライジやアリシア・キーズやシェリル・クロウなどの王道組から、トリスタン・プリティマンやヤエル・ナイムやこのアデルあたりまで、かなりヴァラエティに富んだライン・ナップで迫ってきます。一方男性シンガーを見れば、聴く前から想像ついちゃう弱っちいジャック・ジョンソンとか、センスはいいけどどこか予定調和的でインテリ臭が鼻に付くリッチャード・ジュリアンとか、なんかパっとしない顔が並んでます。一押しがマイケル・ジャクソン「スリラー25周年エディション」じゃあねぇ。負けてます。

結論!やっぱり女は強い。でも好き、だから好き、とっても好き。つまり欲求不満、なのか?

February 28, 2008 08:42 PM

ARLEN ROTH

アメリカン・ロックの超渋い系ギタリスト、アーレン・ロスの新作がリリースされるとザ・バンドのコミュで知り、本日入手。最近ハヤリのCD+DVDの2枚組で、日本盤も近々出るみたいです。

この人、80年ごろに顔のジャケのアナログを買って聴いてはみたものの、なんかインストばかりで今ひとつピンとこなかった記憶があります。調べてみるとこれが78年の1stだったようですが、それから30年も地道に活動してたワケですねぇ。知りませんでしたがアルバムも随分リリースしてるみたいです。

そんなアーレン・ロス初心者の自分が新作に走ったのは、他でもないレヴォン・ヘルムがほぼ全面にわたって参加しているからでした。健康やら財政やらの問題を抱えるレヴォン、DVDで見る限り元気そうではありますが、やはり声やドラミングの衰えは如何ともしがたいところです。でもまあファンならば、そんなこたぁ想定内、去年のソロに続いてこうしてまた参加作品が届けられたことだけで、すべてOKでしょう。

チャック・ベリーやディランやレイ・チャールズやサント&ジョニー(もちろんスリープ・ウォーク)などの素敵なカヴァーを含み、レヴォンのみならずサニー・ランドレスとかもイカしたスライドを披露する本作。アーレン本人も実に達者なギター・プレイで盛り上げますが、いかんせん上手いけど華が無い感じで、アルバムとしては平均的な出来というのが、正直な印象です。DVDも残念ながらほとんどがスタジオでのレコーディング風景をダラダラと綴ったみたいな、どこかメリハリに欠けた映像でちょっと期待はずれでした。

でもそんなこたぁどうでもいいな。なんせレヴォン本人、レヴォンのスタジオそしてかわいいレヴォンの娘さんが映像で拝めるんだから。

アット・ホームなスタジオで気の合った仲間内のミュージシャンと楽しそうにセッションするレヴォン・ヘルム。一方、クロスロード・ギター・フェスで大観衆を前にクラプトンと面倒くさそうにセッションする、ちょっとバブリーなロビー・ロバートソン。どちらがどうとは思いませんが、ラスト・ワルツ以降のこのふたりの来し方行く末にとりとめもなく想いを馳せる、そんな冬の夜です。

ザ・バンドは永遠に不滅です。

February 21, 2008 02:54 AM

THE MARS VOLTA

こう見えてもその昔ツェッペリンやパープルやブラック・サバスなんかに洗礼受けたクチ、激しいロックは今でも結構好きで時折チェックしたりします。てか試聴器どまりですけど(笑)。

で、出たばかりの「マーズ・ヴォルタ」の新作。このバンド初めて聴きましたが、マジ衝撃を受けました。去年来日してたらしいので、もうコアなファンはいっぱいいるのかな。「マスター、無理してない?」という声が聞こえてきそうです。でも大丈夫、小さ〜い音で聴いてますから(笑)。

今回初回限定デラックス・エディションはCD+DVDとなっていて、そのDVDに1曲だけ収録されてるライヴ映像が何ともはや凄い!ライナーには、当初パンクバンドとしてスタートしたもののだんだん難しいことやりだして、仕舞いにはパンク精神はそのままに変則リズム渦巻くプログレ・ハード・ヘヴィメタみたいなサウンドになっちゃった、みたいなことらしいです。

百聞は一見にしかず、ロックに激しさや熱さを求めて止まない永遠のロック野郎の皆様にはきっと楽しんで頂けるバンドだと思います。なんか圧倒的過ぎてその音楽性については語る術も無く、また語る気もありませんが、個人的な印象を踏まえた上で強いて一言で言えば「ツェッペリン、パープル、サバス、クリムゾン、ザッパ、ピンク・フロイド、マハビシュヌ・オーケストラ、さらにはドアーズ、もうひとつフリー・ジャズの要素をもぶち込んでパンクという毒で仕上げたニューヨーク産冷凍ギョーザ、砂入り」みたいな。全然一言じゃなくてすみません(笑)。

「ロックは死んだ」と言った方もいらっしゃいましたが、こんなバンドが現れ出したらロックもオチオチ死んでられないでしょう。たぶんこっちが先に、くたばります。皆さん、お大事に!

February 18, 2008 11:12 PM

RICE RECORDS

ワールド・ミュージック系のレコード・レーベルとして質の高いリリースを続けているライス・レコードが目出度く10周年を迎えました。当店でも先月、定期的に開催しているレコード・コンサート「世界の音楽を聞く」で、代表の田中勝則さんから10年の足跡を音で辿りながら面白い裏話をいっぱい披露して頂きましたが、今度はより広いファンに向けてライス・レコード10周年記念サンプラーがリリースされました。といっても非売品で限定1000枚、ライスのカタログから2枚買うと希望者にはタダでくれるというシステムです(詳細はsambinha,com/で)。

内容はもう名演名曲のてんこ盛り、2枚組全39曲約155分の大盤振る舞いで100年に及ぶワールド・ミュージックの歴史を、30ページもの詳細なライナーと曲解説つきで辿ります。古くからのファンにはとても懐かしくかつとても便利、新しいファンには未知なる音楽世界への最良の入り口として極めて魅力的な1枚。サンプラーなんてレベルを遥かに超えた、この手のコンピレーションとしてはある意味世界最高のひとつと言えるのでは。だって他でこんなの出せるところ、ありますか?

もう何度もヘヴィローしてますが、曲順や音質へのこだわりが至る所に感じられて、音楽に対する愛情と、続けてきたことに対する自信と、未知なる音楽を紹介していく意欲とが静かに息づいてる、そんな印象を強く受けました。個人的には国境の南のBGMのために作っていただいたものと、勝手に思ってます(笑)。どうもありがとうございました。

ライナーのなかで田中さんはこの10年間の紆余曲折を努めて客観的に綴っていらっしゃいますが、ハタから見ててもそこにはただならぬご苦労があったはず。でもやってきたことがレコードという作品として残っていく、これはほんとに羨ましくも素晴らしいことだと思います。

これからも益々のご発展をお祈りしております。ついでで結構ですので国境の南もどうぞよろしく(笑)。

February 12, 2008 08:28 PM

音痴

すごいお題です。いきなり愚痴です。以前代官山ポレポレ時代に常連さんと組んでたバンド(マンマ、ポレポレ・バンドといいます)を再起動することになって4月のライヴに向け練習が始まったワケですが、久々に手にするエレクトリック・ギターがどうにも上手く弾けません。自分のパートはサイド・ギターで、リードと違ってそう技巧的な部分は無いのですが、筋肉の劣化のせいか数曲あるロケンローのブギー・ビート(低音弦で刻むヤツです)が、途中で力尽きてナチュラル・ミュート(笑)してしまいます。

まあこれだけならば純粋に基礎体力の問題、鍛錬で何とかなるでしょうが、イメトレの積りで以前のライヴ映像をつぶさに見直したところ、改めて気付かされたことがあります。きっとメンバーはとっくに判っていながら気を使って黙っていてくれてたのかもしれませんが、自分のリズムが微妙に後ろにズレているのです。気分はスティーヴ・クロッパーばりにカッティングしてる積りなのに、です。これってもしかしてリズム音痴?そういえば滅多に歌は歌わないのですが、たまたま録音された自分の歌を聴いた時も音程が微妙に(すみません見栄張りました、大幅に)ズレていることに愕然としたことがあります。これってもしかしてメロディ音痴?リズム音痴とメロディ音痴の併せ技、完璧です。

さて本題。そも音痴ってナニ?一般的に「アイツ音痴だよな」と言うフレーズが使われるのは、先ず原曲があり、そこからリズムなりメロディなりがハズレてた時だと思われます。確かにカラオケなどで酔っ払いオヤジの歌で不快な思いをすること、あります。さて、ではボブ・ディランはどうでしょうか。この広い世の中、ディランの歌も酔っ払いオヤジ同様音痴で不快なものとしか思わない人もきっと存在するでしょう。ディランとどこぞの酔っ払いオヤジと一緒にすな!と怒られそうですが、リズムとメロディの組み合わせという原点だけに平等にスポットを当てれば、どちらも同じこと。

もちろん個人的にはディランの場合、原曲からハズレてても不快どころかむしろ新たな魅力を生んでいると強く感じるし(一緒にすな!と怒ってるのは自分です)、他にもそういったミュージシャンいっぱいいますよね。ではこの音痴かそうじゃないかという評価の違いはどこから生まれるのか?それはもう個人的な「思い入れ」あるいはアバタもエクボにしちゃう「愛」から以外ないと思います。ということは絶対的な音痴は存在しない、救いはあるということです(笑)。

なんか何が言いたいのか皆目分からなくなってしまいましたが、ポレポレ・バンドのライヴにはぜひ「思い入れ」と「愛」とを持ってお越し頂ければ幸いです(そこかい!)。

February 5, 2008 01:41 AM

J・J・CALE

前回のアリサ・フランクリンほど話題にはなっていなくてつい見落としてましたが、こりゃまた超渋の未発表音源が昨年10月にリリースされていました。どこがいいのか、何が凄いのかという問いに最も答えづらいミュージシャンのひとり、J・J・CALEの1973年から83年までのオクラ入りしてた音源のコンピレーション「REWIND」。僭越ながらその問いに敢えてお答えしときます。「何かしらんけど最高っす」と。

ライナーによれば、当時のプロデューサーだったオーディ・アシュウォースが、J・Jのオリジナルを優先したためにアルバムから外した曲のテープを彼の自宅に保管してたものが、オーディの死去といった曲折を経てやっと世に出たもの、だそうです。そのせいか14曲中6曲がカヴァー、1曲が共作となってますが、とりわけランディ・ニューマンの「ローリン」、リオン・ラッセルの「マイ・クリケット」、エリック・クラプトンの「ゴールデン・リング」あたりは、ほんと堪りません。そして6曲目(時期からいって恐らくリアリー録音時のアウト・テイク)のカッコいいことといったら、もう鳥肌モノです。

録音時期が10年にも亘っているためにオリジナル・アルバムのような統一感こそありませんが、逆に地味なJ・Jのいろいろな顔が覗けて、やっぱり何かしらんけど最高っす。あと余計なお世話ですが、クラプトン・ファンの皆さん、最近出てるコンプリート・ベストみたいなくだらんモノ買ってないで、ぜひこっちをお願いします(笑)。

もう一枚最近のお気に入りはカーラ・ボノフの2枚組ライヴ。こちらも相当地味ですが、とにかく代表曲にして名曲のオン・パレード。リンダ・ロンシュタットのバック・バンド、ストーン・ポニーズのケニー・エドワーズとのデュエット「WATER IS WIDE」なんか、ジェイムズ・テイラーとのデュエットとはまた違った味で楽しませてくれてます。ほのぼのとした暖かい雰囲気満点のライヴ・アルバム、寒いこの季節にぴったりです。

以上2作品ともに実に地味ですが、少なくとも「神の手」を送ったり送られたりしてるよりずっと幸せな気分になれることでしょう。それにしても雪の日曜日、暇です。あれっ?それって不幸じゃん!

February 4, 2008 12:48 AM

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