国境の南 world music & bar

DIARY

August 2007>>

PLANET EARTH

鬱陶しい梅雨前線を追い払うかのように、プリンスの新作「PLANET EARTH」が届けられました。前作「3121」から一年とちょっとのハイ・ペース。「3121」が個人的にはいまひとつこじんまりした印象で心底入り込めなかっただけに、ホログラフィ−を駆使して凝りに凝った新作ジャケを眺めつつ不安と期待相半ばといった気持ちでプレイ・ボタンを押したわけですが、もうこの新作ときたら隅から隅まで自分のツボ突きまくり、思わず拍手したくなるほどの快作で嬉しくなっちゃいました。

プリンス特有の捻じれた作曲のセンス、随所に散りばめられた音の万華鏡的アレンジのセンスは相変わらず冴えまくってますが、今回はそれに都会的な大人のポップ・センスが加わって、全体をよりカラフルに彩ってる印象です。考えてみればプリンスも1958年生まれだからもうすぐ50歳、1978年デヴューだから業界30年!紆余曲折ありながらも常にブラック・ミュージックのトップシーンを走り続けてきた実績と自信とが、ポールの新作同様に音のひとつひとつに滲み出ていて、圧倒的な存在感を醸し出しています。

全10曲、わずか45分。最近のCD許容量にしてみれば半分強の短さですが、中身が濃蜜なだけにそれこそ30分くらいにも感じるプリンス・ワールド。歳で集中力減退の我が身にとっては、このサイズもツボ。これって絶対アナログ時代のタイム感覚意識しての狙いだと感じました。3曲目の、マイルスみたいなトランペットが切ないジャジーなバラードなんか、薄っすらとアナログのスクラッチ・ノイズ聴こえてるし。彼を育んだ時代の音への、憧れと尊敬の眼差しが痛いくらいに横溢しています。

歳をとってもカッコいいままでいること、とかに普請してる連中とはちょっと次元の違う、歳をとるに連れてますますカッコよくなる我らがプリンス。最高です。

一応書いときますけど、巷にはプリンス=王子がいっぱいいます。ハンカチ王子とかハニカミ王子とか監
禁王子(居たなぁ、そんなの)とか。でもことプリンスに関しては、彼らより間違いなく挌上です。だって愛称、「殿下」だもん。

July 31, 2007 09:42 PM

YOU TUBE

今日は知らない人いないほど普及しちゃったYOU TUBEのネタをふたつ。
常連のデニ(こと山上剛)君のユニット「BLEND NOTE」の、7月21日国境の南でのライヴがYOU TUBEにアップされてます。当日は客入りもよく、いい雰囲気の中での楽しいライヴとなりました。そのあたり、きっと映像から感じ取って頂けるのではと思います。デニ君はティム・バックレィやルーファス・ウェインライトやジョン・メイヤーなんかが好きなミュージシャンで、その歌やギターもさることながら、なんか妙に心に残るソング・ライティングのセンスに惹かれて一昨年初めてライヴをやって以来今回で三回目となりますが、いろんなところで場数踏んできてるだけに、気の合ったメンバーとともに一回り大きくなった姿を見ることができました。商売柄、時折「近頃の若い奴らの音楽はわからん」的なことを言うオジさんに出くわしたりもしますが、どっこい現場には熱い想いを込めて音楽やってる若い連中、いっぱいいます。ポピュラー・ミュージックとは世代を超えて影響し合いながら綿々と連鎖してゆくもの。だとすれば、好き嫌いは良しとしても、「わからん」は無いと思います。知らないうちに、エレクトリックに転向したディランにブーイング浴びせたような保守本流の一員にならぬよう、自戒の念をも込めて気をつけたいものです。「BLEND NOTE」はこれがYOU TUBEデヴュー。よって金魚の糞「国境の南」もYOU TUBEデヴュー(笑)。めでたし、めでたし。

先日YOU TUBEでJOHN SEBASTIANを検索してたら、「You And Me Go Way Back」という1986年の「DEJA VIEW」なるTVショウのクリップがあり、ジョン・セバスチャン、ロジャー・マッギン、フェリックス・キャバリエ、ロニー・スペクターという、60年代スター全部乗せみたいなバンドが楽しそうに演奏してるのですが、その後ろで妙なドラム叩いてるあのお姿は、リチャード・マニュエルその人ではありませんか!まったくこんなセッションの存在、知りませんでした。これってザ・バンドのファンは周知の映像なんでしょうか?知らないの自分だけだったりして・・・。つくづく怖い世の中です。

ということで、YOU TUBEの各アドレスをここにペタっと貼る技術ないので、ご興味おありの方は、それぞれ検索の上お楽しみください。ご興味のない方は、おやすみなさい。

July 25, 2007 02:47 AM

THE TRAVELING WILBURYS

「ロック・ヒストリーに起こった奇跡」。このバンドに対して各音楽メディアが呈したキャッチ・コピーを心底納得させる、まさに充実の三枚組リイシューが先月世に出ました(日本盤は25日発売)。
ジョージ・ハリスンのアルバム「クラウド・ナイン」を切っ掛けとして生まれた、ジョージ・ハリスン・ロイ・オービソン・ボブ・ディラン・トム・ペティ・ジェフ・リンによる覆面プロジェクト。1988年と90年にリリースされた二枚のオリジナル・アルバムは、各ミュージシャンの熱心なファンにとって避けては通れないアイテムとなっていたものですが、今回は永らく廃盤状態だったその二枚(ボーナス・トラック入り)に加えて、そのレコーディング風景とヴィデオ・クリップを纏めた驚異のDVDが一枚!
1stアルバムが「Vol.1」で全米1位、勢いに乗って臨んだ2ndアルバムがロイ・オービソンの死去で幻に。よって90年の2ndには「Vol.3」と明記されたという複雑な経緯もあって、今回いよいよ幻の2nd音源が日の目を見るのでは、とネット上でもいろいろと憶測飛び交ってましたが、残念ながらそれは無し。
しかしながら、そんなことどうでもいいくらいにこのDVD、凄いです。かなり凄いです。マジで凄いです。ほんとうに凄いです。
酸いも辛いも経験してきたスーパースターたちが、まるで昨日始めた中学生バンドのごとく嬉々として音楽を紡いでいく様、鳥肌立ちます。そして見終わったあと、ロイ・オービソンのみならずジョージ・ハリスンも天に召されたことを思い、言いようのない寂しさに襲われたりもします。
音を楽しむと書いて、すなわち音楽。その無垢で根源的な在り方のすべてがこの映像からは溢れ出ています。聴くにしろ演るにしろ音楽でお悩みの皆様、ぜひ一度ご覧頂ければきっと明るい未来が両手広げて待ってることでしょう。
アイツはリズム感が悪いとか音程がイマイチとかちっちゃいこと言ってる奴には到底辿り着けない、セッション・バンドの究極の姿がここにはあります。
カッコ良さこそロックの肝。このオヤジどものカッコ良さにちょっとでも近づきたいと思う自分ですが、さっき暇にあかせて「赤いきつね」食ってたらタイミング良く(悪く)入ってきたKちゃんにバレちゃいました。そして一言「侘しいのぅ」(笑)。まったくです。悔しいから明日は「緑のたぬき」にしよっと。意地の方向、違うし(爆)。

July 23, 2007 01:38 AM

「SONGS」

修学旅行や家族旅行以外一歩も郷里熊本を出たことのない僕が小雪舞う東京駅のホームに降り立ったのは、1972年2月のことでした。右も左も判らぬ田舎者の目に映った、空飛ぶ山手線や天まで届く高層ビルやまるで軍隊のごとく押し寄せるひとの波。まさに見るものすべてが、カルチャー・ショックでした。こうしてブルーにこんがらがって始まった東京でのささやかな音楽的日常。そんな自分の心をいつもそっと癒してくれたのが、アメリカン・ロックを彩ったイカしたミュージシャンたち。彼らは今にして思えば、70年代を生きる自分にとって、まさに道標のようなものだったんだと思います。
「SONGS」。音楽評論家小尾隆さんによる70sアメリカン・ロックの評論集。1997年に出版されたものが10年の時を経て、増補改訂版として装いも新たにリイシューされました。もともと小尾さんの文章は個人的に好みで、いろんな音楽誌で見つけては立ち読みしてましたが(買えよ!)、これは不覚にも未入手だったので嬉しい限り、発売日にHMVにてゲット、先ほど読了しました。
内容はもうアメリカン・ロック好きなら文句なく楽しめること請け合い。本文は、例えば西海岸、東海岸、中西部南部というように重要なムーヴメントが起こった地域をおおまかに分けた上で、それぞれのヒストリーを正確に俯瞰しつつ、そこに著者ならではの視点に基づいた考察がなされ、読んでるうちにいつの間にか自分も70年代のそこにワープしちゃいました、連れてかれちゃいました、みたいな感じです。凡百のヒストリー本が「76年にザ・バンドが解散したのでラスト・ワルツは聴いときなさい」的な結果重視の教養的なものになりがちなのに対して、この本は「なぜザ・バンドは解散したのか、ちょっと現場行ってみようよ」と言って体験学習しちゃうみたいな。例えが稚拙ですみませんが、すなわち著者の姿勢が優れて現場感覚に富んでいる、ということなのだと強く思いました。
そして現地にワープして知ったミュージシャン、いったいどんな音楽残したの?という疑問には、本の各上段に本文とリンクするかたちで並ぶアルバム群が、みごとにそれに答えてくれます。しかもフルカラーでコメントつき!至れり尽くせりの丁寧なつくりに、著者はじめ係わったスタッフのロックに対する愛情が滲み出て本自体に品格を与えてる、そんな素敵な一冊となりました。
表紙がまた、ソソります。遥か彼方のカントリーから都会へと向かってくるストリートに車が一台。スティーヴン・スティルスが乗ってるとすれば、やがて手前から中古の霊柩車に乗ったニール・ヤングが現れ、すれ違うはず。そして・・・・・・・・。
ついでながら、カバーをはずしたら本自体の表裏にも小尾さん愛聴(たぶん)のアルバム・ジャケがいっぱい!70sロック好きの若きDJ諸君、まんまコピーすれば即チラシで使えますよ(笑)。
僕みたいなオヤジファンも、これからの若いファンも、ぜひ70sアメリカン・ロックの体験学習に参加、お待ちしてま〜す。

July 16, 2007 07:33 PM

無題

え〜っと、前の日記が6月22日だから約2週間書くのをサボってたことになります。理由は明白、何かを書こうとしてもまったく頭の中がまとまらなくなってしまったからです。原因はよく分かりません。ネタが無いといえばウソになるし(極端なはなしネタが無いことをネタとして書くことだって出来るわけだし)、やっぱり気力の無さヤル気の無さの為せる業ってことになるんでしょうね。とにかく何にも降りてこない。タイトルすら浮かばない。で、困った挙句の「無題」です(笑)。
まあこんな個人的な日記なんぞ書きたいときに書けばいいだけの話、それで誰が困るわけでもないからいいものの、例えば作家やら評論家やら、締め切りと闘いながら物を書くことを業としてる方々はそんな悠長なこと言ってられないわけで、ほんと「神」に思えてきます。
というわけで書くことはおろか読書すらする気が起こらない今日この頃、こんなときはひたすら漫画です。いまハマってるのは以前にもちょっと触れた音楽漫画「BECK」。現在31巻まで出てますが目下22巻目を進行中。コユキという男の子がBECKというバンドを通じて成長してゆく過程を面白ろ可笑しく描いた長編コミックですが、その中の至るところに散りばめられた、ロックファンをニヤっとさせるパロディやら小ネタが見事で、腹抱えて笑ったり膝叩いて感心したりと、今の自分にとって一番の癒しって感じですね。
もう7年も前から少年マガジンで連載中だからご存知のかたも多いでしょうが、肝心の音が聞こえないから音楽漫画は売れないと言われる中にあって、この作品だけは何かしら音が聞こえてくるような気がします。31巻まであと10冊、頑張るゾ!
久々の日記、結局は「書けない」ことをネタに「書くこと」も出来る、ということをネタにして書いてみましたとさ(苦)。また逢う日までごきげんよう!

July 8, 2007 10:29 PM

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