国境の南 world music & bar

DIARY

June 2007>>

東京タワー

またまたまた何を今更シリーズ。先日久しぶりにエプロンズFTさんが来店、結構長時間よもやま話に興じていたところに出版系の仕事をしてる常連Iくんが加わり、流れでリリー・フランキー「東京タワー オカンとボクと、ときどきオトン」の話題になりました。
僕は昔から、例えば興行収入ナンバー1のハリウッド映画とか百万部突破のベストセラー小説とかグラミー総ナメの大ヒット曲とかに対して、よく知りもせずに妙に反発して斜に構えてしまうヘソ曲がり者で、よくないと思い反省はするものの、これがなかなか直りません。この「東京タワー」も話題になってたのは知ってましたが、どうせ流行りの病気絡みお涙頂戴系売れ線小説だろうくらいにしか思っていませんでした。そんな自分を翌日さっそく本屋に向かわせたのは、FTさんが思わず漏らしたつぎの一言、「自分のしわ腹が波打つくらいに号泣しました」(号笑)。それってどんなんかいな?と思ったわけです。
で、四百ページ強を一気読み。お陰様でまだ波打てる程の腹がないのでその体験は出来ませんでしたが、なるほどクライマックスに近づくにつれて涙目で文字がぼやけて読めないほどになってしまいました。不幸なことに、本に感動して実際に泣いた経験というものがほとんど無かった自分にとっては、まずはそのことが驚きではありました。
ストーリーについては、もうそこここで紹介されレヴューもされてるのでここでは敢えて触れませんが、この作者と自分とは十年のタイム・ラグがあるとはいえ、同じく九州の片田舎で生まれ育ち東京に出てきてカルチャー・ショックを受けるという流れは大筋いっしょ。ストーリーのいたるところにモロ感情移入できる部分が散りばめられて、これはもう遠い目で泣くしか術はありません。昭和のあの時代に流れていた、あの厚ぼったい空気感が切なくて堪りません。
主人公のオカン。オトンとの確執に悩み子供のためにすべてを費やし、それでも明るく人生を演じ壮絶に病に散ったオカン。これほどドラマチックなものではないものの、やっぱり遠く九州に暮らす自分のオカンとどこかしら二重写しになって、これはもう本気で泣くしか術はありません。
自分のオカン。飲み屋とかやってるとなかなか帰郷できずに親不孝の極致ですが、たまに帰ると昼からさしみ・馬刺し・からしレンコン・ステーキはじめオカンの頭にあるありとあらゆる小鉢の数々、食卓に乗り切らず床にまで展開した料理を飲みながら食ってるとやがて限界のカエル腹状態、吐きそうになってるところに、トンカツとかが出てきます(笑)。「もう喰えん」というと「なんね、ほんならゴハンにしょうか」といってゴハンと味噌汁とか出てきます。そして、それを食べないと悲しそうな顔をするのです。
オカンの口癖「食べられるときに食べとかな、食べられんときもあっとだけん」。昔は「無茶ば言うな」とか思っていましたが、今はその言葉の深さが心底身に染みます。オカンは今でも食い溜めということが出来ると信じているようです。あともうひとつ印象に残ってるオカンの言葉。「アンタ平々凡々と生きるほど難しかことはなかとよ」。オカン今年八十一歳、バリバリ元気です。
「東京タワー」。この本は図らずも実にいろいろなことを自分の頭に蘇らせてくれました。両親、親戚、家庭、友人、他人そしてそれぞれの人生。それらがしばらくは脈絡なく脳内を回っていそうな感じです。
ぐるぐるぐるぐる、ぐるぐるぐるぐる。ぐるぐるぐるぐる、ぐるぐるぐるぐる。

May 24, 2007 08:12 PM

Kuniーbo BLUES LIVE

一昨日は常連ブルースマンKuniーboの、国境では約一年ぶりのライヴでした。当初は完全ソロで臨むつもりだったようですが、曲数が増えたり歌に専念したい部分もあったりで、急遽こちらも常連のギタリストSueさんに助っ人を依頼、16曲中13曲とほぼ全面参加を得てなかなかに楽しいライヴと相成りました。
オープニングは、Kuni-boと言えばこの曲って感じの十八番、ロバート・ジュニア・ロックウッド「テイク・ア・リトル・ウォーク・ウィズ・ミー」からビッグ・ビル・ブルーンジー「ヘイ・ヘイ」「キー・トゥ・ザ・ハイウェイ」まで怒涛のソロ弾き語り三連発。本人は気づいてないかもですが、歌もギターも一年前とは違う人?ってくらいウマくなっちゃってます。やはり熱意、場数、練習の三点セットの賜物なんでしょう。そしてSueさんの超絶ギターが加わって、ブルースの王道ナンバーを核に優歌団からクラプトンまでオイシイところを散りばめながら、ヴァラエティに富んだ楽しいライヴが繰り広げられました。
Sueさんは本来、クロスオーヴァー系のテクニカルなスタイルが身上のギタリスト。従ってどちらかといえばオーソドックスなブルース・スタイルのKuniーboとはまったく持ち味違うワケですが、それでもとりわけスリー・コードを逸脱したバラード系の曲なんかでは、リードにオブリにと素晴らしくセンシティヴなプレイを聴かせてくれました。難しい曲ほどウマく弾く、貴重なギタリストです。だって単純なスリー・コードのアップ・ナンバーとか、弾きづらそうだったもん(笑)。このライヴのために新たに買ったという、ウクレレみたく軽いエレアコおよびアコギ専用アンプも、確かにいい音してました。
ふたりでやると決めてからひと月もない中での16曲はさぞ大変だったでしょうが、程よく満杯の客席も和やかな雰囲気で、まずはハナマルのステージだったと思います。また今度ふたりで、今回をさらに上回るステージを期待しておきます。お疲れ様でした。
追記:男だらけのブルース臭い客席にあって、手拍子足拍子で場を盛り上げてくれた紅二点、JKさんとFさん、有難うございました。なんせ花がないもんで困ってたところだったので助かりました。あ、いけね。Nちゃんがいた!紅三点に訂正しときます。手遅れだな。殺される。

May 21, 2007 04:41 AM

SUFJAN STEVENS

またまた何を今更シリーズ?、数年前からその筋で話題のSSWスフィアン・スティーヴンスを周回遅れで満喫しております。2005年のMM誌ベスト・アルバムに4作目「イリノイ」が選ばれたり、国境名誉DJjackieがブログでの2006年ベスト・アルバムに5作目「アヴァランチ」を挙げてたりと、何かと気になるミュージシャンではありましたが、例のジョニ・ミッチェル・トリビュートの1曲目に抜擢され、かつFB/DJさんから「マスター絶対ハマりますよ」の一言もあって、いよいよ機は熟したとばかりに2作目から5作目までをゲット。FB/DJさんの読みが深いのか、簡単に読みきられる僕が浅いのか、マンマとスッポリとハマってしまった次第です。
今までの日記の流れに従えば、ここでその音楽の印象なり特徴なりを簡単に書きたいところですが、いやぁ今回ばかりは何というか中身が濃すぎて、何をどう書けばよいのかまったく考えがまとまらずに困ってしまいました。誰か代わりに書いといてください(笑)。
で終わるのもナンなので、この人のコンセプトにだけ触れておきましょう。生まれ故郷デトロイトで制作された1作目は残念ながら未聴ですが「太陽系9惑星と12使徒と4体液?のための音楽」だそう。ワケわかりません。ニューヨークに移り住んでの2作目は「ENJOY YOUR RABBIT」と題された「黄道十二宮の動物たちのための音楽」。これは完全インストルメンタルで、クラシックとエレクトリック、西洋と東洋とが複雑に絡み合った摩訶不思議な音楽。ここまでは泣かず飛ばずだったスフィアン、継父の歌モノをとのアドヴァイスを受けて、いよいよアメリカ合州国50州を、しかも州ごとにすべて音楽で表現するという壮大なコンセプトを表明。2003年に先ずは故郷デトロイトのある「ミシガン」を発表、引き続き2005年にはお隣りシカゴを擁する「イリノイ」を発表するに至って各方面から高い評価を受けることに。2006年にはほとんどが未発表の「イリノイ」制作時のアウト・テイク集「アヴァランチ」を発表、現在に至るって感じです。さて、次はどの州なんでしょうかね。
1年に1作作ってもあと48年!凄いです。僕100歳越えてます(笑)。ひとつ生き甲斐が出来ました。楽しみについて行きます。ついて行きましょう。ついて行ってみせましょう!
ここのところ2週間ほど国境らしからぬ多忙な日々が続きバテ気味ですが、スフィアンのお陰で気分は上々。また明日から頑張るべぇ。
追記:ひとつだけ感じたことを。このスフィアン、アメリカの田舎での人々の暮らしや歴史や出来事を私的な視点で描くその姿勢にどこかランディ・ニューマンと同質のものを感じ、たぶんそのあたりが自分的にハマった遠因だと思います。右蛇足まで。

May 20, 2007 08:12 PM

雨のち晴れ

実は昨日、密かに楽しみにしてたメデスキ・スコフィールド・マーチン&ウッド(MSMW)のO−EASTでのライヴに行くべく、「本日都合により10時開店」の張り紙まで用意してウカレてたのに、直前にチェックしたら、なんかクラブ・イベント乗りらしくMSMWの出番は8時30分で終演11時45分だと!泣く泣く諦めました。超絶グルーヴに浸りたかったのになぁ。終演後寄ってくれたN君によれば長かったけど良いライヴだったそうです。ライヴ・レポートも概ね好評で、返す返すも残念、気分は雨。
その腹いせにレコファンへ(ほかに思いつかんのかな)。エサ箱漁る時間もなく面陳棚をチェック、ほんとは苦手なパティ・スミスとブライアン・フェリーの新譜を遅ればせながらゲット。
パティはビートルズからニルヴァーナまでヴァラエティに富んだ王道ロックのカヴァー集。ちょっと元気無い気がするものの、そこここに「らしさ」も感じられて、なんせ曲が曲だけに結構楽しい一枚でした。
が、それにもまして楽しいのがブライアン。なぜかというと全曲ボブ・ディランのカヴァーだからです。なんら気負いもなく重くもならずに淡々と歌い綴るブライアンの声には、先達ディランへの強い敬愛の念が溢れほんとに暖かい統一感に満ちた作品が生まれました。ブライアンは1973年の1stソロの1曲目にして既にディラン「激しい雨が降る」をカヴァー、つまり愛の深さが違うってことなんでしょう。だって当時ロキシー・ミュージックの看板スターだった彼の初ソロの1曲目に他人の曲なんか、ふつう持ってこないもの。
そう言えば先日FB/DJさんとジョニ・ミッチェル・トリビュートを聴いていた時「これだったらプリンスひとりのブルー全曲カヴァーのほうが面白かったかも」って話になったのを思い出しました。プリンスはジョニの「A CASE OF YOU」を聴いて泣いたと公言しています。実現してたら素晴らしいものになったことでしょう。
まあ企画モノってしばらくすると聴かなくなるものが多い気もしますが、このブライアンは永く愛聴盤となりそうです。ということで、気分は晴れ。
そして楽しく過ごす深夜0時過ぎ、海老原さんご夫妻とともにテテが来店!しかも手にはギターではなく三脚つきヴィデオカメラ(笑)。成田に着いたばかりで眠そうでしたが、さすがにフランスではスター、気さくな雰囲気はそのままながらも、ここ数年でえらく風格備わった感じがしました。今回はプロモーションでの来日ですが、本番ライヴは9月。みんなで行きましょう!
来日といえば、9日にはNHKホールでの公演を終えたカルロス・ヌニェス一行20名!来店。大変なことになりました。やがてセッションとなり、カホーンのスパニッシュ感溢れるビートに、疲れを忘れるひとときでした。まさに音楽すなわち人生、の人たちですね。
てなわけで、気分は快晴。たまたま居合わせたIちゃん、ヘルプありがとう。助かりました。

May 12, 2007 08:54 PM

久々の休日

連休前からずっと忙しくてさすがにくたびれたので6日、約4カ月ぶりにお休みを頂きました。知らずにお越し頂いた皆様、申し訳ありませんでした。

貴重な休日、予てからの計画通り疲れを洗い流すべく近所の健康ランド「湯煙の里」へ向かいました。ほんとうは、思い付きでした。

何種類もある湯船を全制覇、サウナに倒れるまで篭もって昔捕まった宇宙人のようにげっそりと痩せてし
まいました。ほんとうは、500グラムしか痩せませんでした。

となると仕上げはマッサージ、骨も折れよとばかりの強烈な施術で五体バラバラになりました。ほんとうは、すっかり寝てました。

帰り際近所の名店で特上の刺身とビールを買い込み、家でのんびり昼食を頂きました。ほんとうは、スーパーのシメサバとほたるいかだけでした。

夕方、雨も小降りとなり「出かけたら?」と囁くので、まあ何事も勉強ということでしかたなく近所の繁華街へ向かいました。ほんとうは、スキップして出かけました。

どうせなら新規開拓をと思い、ビル2階のちょっと入りづらい和食店へ。これが大当たり、店のママと和気会い合い盛り上がり、勢い余って昔の彼女まで呼び出してしまいました。ほんとうは、近場でたまたま飲んでたゲレン(男性)でした。

俄然強気の男ふたりは、引き続きカミさんの店「らっきょう」に乱入、バイトのかわいい子をからかって乱痴気騒ぎとなりました。ほんとうは、借りてきた猫状態でした。

そしていよいよ締め。カミさんも加わり、先の和食店のママをも巻き込んで近くのファンキー居酒屋へ。大盛り上がりで身も心も開放されたあと、雨上がりの濡れた歩道をカミさんと手に手をとって帰路につきました。ほんとうは、・・・・・・・・・・・・・・・。

やっぱ国境の南側にいたほうが楽かも、です。

May 8, 2007 03:50 AM

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