ENDLESS HIGHWAY
ザ・バンドほどの曲者ともなると、トリビュート・アルバムをつくるといっても、先ずは人選からして頭抱えるところではないでしょうか。ラストワルツ組みたいなビッグネームでは新味ないし、意表突いてヘヴィメタとかパンカーとか起用しても思いっきりハズしそうだし(だいいち、知らない?)。ほんと、困ったんじゃないかと思います。
そこに登場したのが、この難題を見事に正面突破した「ENDLESS HIGHWAY/the music of The Band」という、ラストワルツ三十周年を祝うCD。全十七組中、オールマンズやジェイコブ・ディランやジャック・ジョンソンやブルース・ホーンズビーなどの有名どころもいるものの、わが国では比較的無名なメンツが大半を占める陣容ですが、七十九分三十秒のどこを切り取ってもザ・バンド魂溢れる音が流れ出す、愛に満ちた最高のトリビュートアルバムと言えるのではないでしょうか。選曲は、代表曲中心のまあ妥当な線といえるもので、個人的には「ジェミマサレンダー」や「オフェリア」あたりも聴きたかったところですが、そんなこと言い出すとキリないですからね。なかなかのグッジョブです。
勉強不足でハッキリしたことは判らないものの、音聴く限りはこの連中、いわゆるオルタナ・カントリーと呼ばれる一群に属するものと思われますが(すみません、自分はこのジャンル、スティーヴ・アールとルシンダ・ウィリアムスまでで止まってます)、ほんとうにザ・バンドの曲をレコードスリ切れるほど聴いてきたことが直に伝わる歌と演奏で、その楽曲の素晴らしさと相俟って、しまいには涙出そうになってしまいました。
これらの曲がこのプロジェクトのために新たに録音されたのか、すでにカヴァーされたものを集めたのか、あるいはその両方をアレンジしたのか、まだライナーすら読んでないので分りませんが、そんなのどうでもいいほどの見事なまでの統一感と充実感がたっぷり味わえます。タイトル「ENDLESS HIGHWAY」、オープニング・チューン「THIS WHEELS ON FIRE」、そしてラスト・チューン「ROCKIN' CHAIR」。無理クリこじつければ、行くあての無い道、火の車に乗って駆け抜けてきた波乱万丈の人生をロッキン・チェアに揺られながら回想する一大アメリカン・ロック絵巻、って感じですね。
常々「好きなロックバンドは?」という問いには「THE BAND」と一秒以内に応えてきた自分ですが、こういう若いヤツらの愛情溢れるトリビュートに接すると、思わず「近頃の若いモンもマンザラ捨てたモンじゃないわい」とオヤジ全開でつぶやいてしまうのでありました。
あ、最後にお願いしときますけど、コアなザ・バンドファンのオヤジ様、腕組んで眉間にシワ寄せて「うーん、やっぱギターが違うな」とか「リズムのタメが無いんだよ」とか「ガースのオルガンは無理」とか、いろいろご不満もおありかとは存じますが、ぜひ寛容の気持ちで聴いてあげてください。余計なお世話ではありますが、難しい顔したオヤジのお姿があっちにもこっちにも、い〜っぱい頭に浮かんだもんで(笑)。このバンドのファンって頑固者多いからなぁ、って、お前には言われたくない?ごもっともです!
January 31, 2007 10:27 PM
国立新美術館
物見遊山って言うんでしょうか、冬晴れの一日、オープンしたばかりの国立新美術館を探検しに久しぶりに六本木へ。途中、防衛庁跡地の再開発、東京ミッドタウンプロジェクトの異様なお姿に思わず蹴躓いて、手首を軽くねん挫。六本木のここの一画、マジで違和感あり過ぎです。縦横のラインを基調とした建築群ですが、とりわけセンタープラザらしきスペースのファザードやら通気孔のデザインやらが、どう見てもきっちり傾いてる!一言で言えば「オープン前にすでに瓦礫」って感じ。A型人間には優しくない(というか気持ち悪い?)センスです。三月三十日グランド・オープンだそうですので、ぜひ一度ご賞味ください。
気を取り直して美術館へ。外観は、まさに黒川紀章らしい曲線を生かした流麗なデザインで、全体にガラス素材の使用が奏功してか、この人特有の威圧感はあまりなくどこか涼しげな風情。基本的には前作福井県立美術館を、ムダに丸くした感じですか。ただしエントランスからロビーに入ると、それこそ威圧感満点の逆円錐形の柱が二本、訪れる者に襟を正すように迫ってきて、一瞬ここが美術館であることを忘れることが出来ます(それ、ダメじゃん)。
気を取り直して展示室へ。開館記念展は「20世紀美術探検」。以前M・C・エッシャーについての日記で、いつまでも印象派ではどうか、みたいなこと書いた身としては、入り口一発目がセザンヌとあって正直ドン引きでしたが、見終わってみれば20世紀の美術の流れを実作品でコンパクトにまとめた内容で、極めて教育的な意味のある、平たく言えば「早分かり!現代美術」とか「今日から君も美術博士!」みたいな感じの、これはこれで意義のある企画だとは感じました。ハッキリ言って、現代美術にあまり馴染みがなく、いったいどういうものなのかを最短時間でいますぐ知りたい向きには、この展覧会ベストです。ただ、開館記念展としてはいいとしても、国立の美術館として今後どういう視点で企画を打っていくのかは、まったく見えずじまい。総花的な企画を続けて、やがて尻つぼみ。これだけは何とか避けてもらいたいものです。
気を取り直して2F展示室へ。文化庁メディア芸術祭十周年企画展「日本の表現力」。これはほんと面白い!アート/エンタテインメント/アニメ/マンガを十年ごとに区切って、TVモニターやCGを駆使して提示、日本て凄いんだなあ、と改めて実感できます。せっかくこんな魅力的な展覧会やってんだから、ここはひとつ小中学校の全生徒強制動員くらいのことやったらどうですか、文化庁さん。愛国心、生まれますよ。
ということで、気を取り直して渋谷へと帰る道すがら、昔世話になった六本木のナイトクラブを二、三軒チェック、全部名前変わってました(笑)。青春のかけらを、置き忘れた街〜。おかげ様で、痛風です(泣)。
January 26, 2007 02:42 AM
Wolfgang's Vault
このところ、マイミクのHWMさんから教わった掲題のサイトにすっかりハマってしまい、寝不足で倒れそうになっております。いわゆる、今言うところのクラシック・ロックのライヴ音源を集めて聴かせるサイトですが、60−70年代にロックの洗礼を受けた者にとっては、まさに宝の山。ヘッドフォンで聴くと驚くほど音も良く、長いものでは二時間以上も良質のライヴ・パフォーマンスが楽しめます。
因みに、昨日足を運んだ?ライヴを順に辿ってみましょう。
1975/03/23 サンタナ ケザースタジアム サンフランシスコ
1969/04/27 レッド・ツェッペリン フィルモア・ウエスト サンフランシスコ
1976/03/19 エルビン・ビショップ ボトムライン ニューヨーク
1974/01/14 ザ・バンド ボストン・ガーデン ボストン
1987/05/25 ロバート・クレイ オースチン テキサス
1968/04/06 ザ・フー フィルモア・イースト ニューヨーク
1985/04/22 エリック・クラプトン リッチモンド ヴァージニア
1984/04/15 スティーヴィー・レイ・ヴォーン オースチン テキサス
1978/11/07 ドクター・ジョン ボトム・ライン ニューヨーク
以上ツマミ聴きでも、優に三時間強は至福の時間が楽しめます。
サンタナは、「キャラバン・サライ」後の余裕のギタープレイで、結構コブシが効いて来てるのが良く判ります/ツェッペリンは、とにかくジミーペイジがどんだけウルサかったか、とJ・P・ジョーンズがどんだけウマかったかが良く判ります/エルビン・ビショップは、名作「レット・イット・フロウ」発表直後のライヴで、テンガロンハットにオーヴァーオールのロッキン百姓スピリット炸裂!/ザ・バンド、最高につき言葉がありません/ロバート・クレイ、これは凄い!野外ロックフェスでのステージですが、当時一世を風靡したあの鳥肌系ファンク・ブルース・ギターが存分に楽しめます。確かこの後間もなく来日、日本青年館でのステージは全く精彩を欠いたもので、ガッカリした記憶があります/ザ・フー、最高につき言葉がありません/80年代のクラプトンについては、正直「う〜む」な自分ですが、このライヴのドナルド・ダック・ダンのベースの太さだけでも聴く価値アリ。あと「レイ・ダウン・サリー」でのティム・レンウィック(元フェアポート・コンベンション)の、クラプトンとは一味違うソロがまた泣かせます/S・R・Vは、まさに旬!ギター小僧恐るべし、って感じです/そしてドクター・ジョンは、「シティー・ライツ」期の都会派ラインナップで粋に迫ります。が、デイヴィッド・サンボーンやバジー・フェイトンはまだしも、スティーヴ・ガッドがねぇ。この[空気を読めない天才」ドラマーに[IKO IKO」は、無理です。
と、つい好き勝手なこと言いたくもなる、玉手箱のようなこのサイト。全プログラム制覇、やってやろうじゃあありませんか!て、ハナっから無理だから。そこで同好の士求む!いいのあったらぜひ教えてくださいね。さて、今日はどこのライヴに行くかな・・・・・。
January 19, 2007 06:53 PM
禁煙と音楽
恒例のお正月禁煙(愛煙家のみなさん、経験あるでしょ?)も、暇続きで特に緊張する場面が少ないせいか、早二週間を過ぎてもなお、しばらく続きそうな勢いであります。そこで今回は、禁煙に効果的なCD二枚について書いてみましょう。って、あるか、そんなもん!
セネガル生まれでフランス在住のテテの新作「ル・サクル・デ・レミング」。北極圏に棲息し、四年ごとの過剰繁殖を自ら調整するために断崖絶壁から海へと身を投げる小動物レミングに引っ掛けて、様々な問題を抱えるフランスの社会をデラシネ(根無し草)の視点から捉えた、暗喩に満ちた見事なコンセプト・アルバム。最初はあまりにもまとまりが良過ぎて、掴まえどころがなかなか見つからない感じでしたが、詞を読み何度も繰り返して聴くうちに、この完成度はちょっと凄いのでは、と思い始めました。テテは初めて「国境」に足を踏み入れた外国人ミュージシャンとして、とりわけ思い入れも強いわけですが、この傑作を引っ提げての来日公演も九月頃に実現しそうで、再会を今から楽しみにしています。
もう一丁、レイ・ラモンターニュ「ティル・ザ・サン・ターンズ・ブラック」。すでにいろんな音楽メディアでは話題のSSWですが、ほんとうにこの人の声には聴いていて震えが来てしまいます。歌の内容はテテとはまさに真逆の極めてパーソナルなものですが、そのヒリヒリした情感がつぎつぎに歌から溢れ出る様は、まるでイカしたロードムーヴィーを見てるかのようで、何ともいえぬサウダージ感覚が味わえます。「太陽が翳るまで」というタイトル、そしてそれを鋭くイメージ化したジャケットのアートワーク、いずれも秀逸としか言いようがありません。目下全英ツアー中、こちらも初来日はもう時間の問題でしょう。
ということで、煙のことなど忘れてしまうほど素晴らしく充実した音楽のお話でした。く、苦しい!(汗)
January 16, 2007 11:53 PM
ブルース 飲むバカ 歌うバカ
「ブルース 飲むバカ 歌うバカ」というタイトルに、あぁあの本かぁ、と反応される方は、かなりの黒人音楽通に違いありません。‘93年に出された、達人ギタリスト吾妻光良による知る人ぞ知る迷著、失礼名著ですが、このたび全国五百万人のブルースファン(いるか!)の熱いリクエストを受けて、めでたくリイシューの運びと相成りました。
今回は‘93年以降のエッセイを若干増補し、表紙のイラストや装丁を改訂した、ズバリ増補改訂版となっていますが、何はさておき久原大河氏による表紙カヴァーのイラストレーションが素晴らしい!ゲイトマウス・ブラウンやスクリーミン・ジェイ・ホーキンスに***される吾妻さん。その哀れなお姿に思わず吹き出しそうに、もとい涙しそうになります。カヴァーをめくれば本体の表紙もニクいばかりのデザイン。愛情溢れる粋なリイシューになりました。さすが日本の誇りP-VINE!
ここまで書いといて言うのもナンですが、‘僕は初版が出た93年当時結構迷った挙句、結局買いませんでした。理由は明白、本書は「ザ・ブルース」〜「ブラック・ミュージック・レヴュー」という黒人音楽専門誌に掲載された記事の集大成的な内容となっていて、当時この雑誌をほぼコンプリートに講読していた身としては、要するに必要なかったわけです。
そして時は流れ、古い記憶もポツリポツリと薄らいでゆく歳となって今一度読み返してみると、当時とはまったく読後感が異なるものや、全然覚えてないものや(笑)、時系列的に勘違いしていたものや、それこそ盛りだくさんの内容で、なんかちょっと感激してしまいました。自分にとってはまさに今こそ楽しめる、今こそ必要な本ということ、なんでしょう。
若いファンも多い吾妻光良&スィンギンバッパーズ。このリイシュー本でますますジャンピン・ジャイヴのシーンがアゲアゲになるといいな。
「ブルース 飲むバカ 歌うバカ」 ブルース・インターアクションズ ¥1900
January 11, 2007 03:49 AM
いまさらMIXI?
三日スタートからまあまあの感じで来たのが、この三連休の暇なことといったら、もう笑うしか術がありません(泣)。冷水ぶっ掛けられた感じですね。また今年も大波小波、油断せず心して働けとの天からの思し召しなんでしょうね。ハイハイ、合点承知之介です。
この有り余る時間を使って、お正月に娘の手引きで入ったMIXIに関してマイミクお願いしたり、紹介文書いたり、面白そうなコミュ見つけて入ったり、慣れないながらもいろいろやってみました。それにしても、いったいどれだけのページやらコミュが存在するのか知りませんが、ほんとエラいことになってんですねぇ。きっと若い世代や早くから馴染んできた方はたいして驚きも無いのでしょうが、僕みたいな旧人類?にはこのイモズル式の底なし沼系仮想お友達ごっこには、正直恐怖心すら覚えてしまいます。恐る恐る利用させてもらいますので、お手柔らかに!
それから、これも今更なんでしょうがYOU TUBE!この映像底なし沼も凄すぎる!マイミクさんの日記から飛んでJBやザ・バンドやストーンズなんかを楽しみましたが、この無尽蔵ともいえる映像の渦、一生かけても見切れないと思うと、なんかふと虚しくもなるなぁ。あ、もちろんJOHN MAYERもチェック済み。トリオでの最新ライヴはもとより、SHERYL CROWとのステージもアップされてました。中にロリーギャラガーのようなヴィンテージ・ストラトキャスターを弾く映像あり、カッコ良過ぎて失神しました(笑)。
最後に、もしかしてこれが一番大事かな、遅ればせながら当店[国境の南」のメールを開設いたしました。マメに見るよう心掛けますので、ご意見ご要望ご連絡などにお使い戴ければ幸いです。
Eーmail info@kokkyo.net
以上、今日のダイアリーは「小判」の使い方はよく解らないものの何か凄いものらしいことにうっすら気づいた、猫のお話でした(汗)。
January 9, 2007 01:38 AM
謹賀新年
新年あけましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
三日間の休みもあっという間にオシマイ。昨日から気分も新たに、国境を越えて日常に戻ってまいりました。
大晦日には、それこそ何十年振りかで紅白歌合戦を最初から最後までフルに見たりしてみました。この国民的?イベント、とても文章に纏める力ありませんので、以下ランダムに雑感を・・・・・。
とにかく長い。四時間半ですよ、四時間半!/そのわりに中だるみを感じない。最初からステディにたるんだ進行ゆえに気にならないのかも/マイベストは細川たかし。微妙にシャープする歌声と歌詞忘れを笑い飛ばす器量はさすが。自己陶酔型演歌の魔境に分け入った堀内孝雄も見事でした。/ほかにも、「おふくろさん」をヴァースから歌い上げた森進一、お色気漂う魔性の女藤あや子、益々歌に磨きがかかった氷川きよしなどなど、演歌勢は概ね好演/マイワーストは布施明「イマジン」。あるいはゴスペラーズ「ふるさと」、夏川りみ[花」あたり。何ぼなんでも安易過ぎます。/若手R&B勢はまったく覇気が感じられず。このジャンル、関西出身者だらけなんですね。オモロい現象。/時々画面に映るいろいろなバックバンドが、どれもすごくカッコ悪い。/司会の中居・仲間コンビ、寒すぎです。
てなことを思いながら長時間最後まで見ちゃったわけです。紅白というと、やれ視聴率がどうとか人選がどうとか、内容以外が話題になることが多いですが、アジア歌謡の長寿番組という視点でみれば、なかなかに味のある部分も、少ないながらもあることを再認識しました。それと全体的なムードが何かに似てるとずっと考えてたら、思い当たりました。お昼の[喉自慢」、あれに空気感がすごく似てきたように思います。いっそプロ歌手にもキンコンカンコン、導入しますか。視聴率アップ間違いナシ!(笑)
ちなみに、問題のDJオズマについては、個人的には音楽的にまったくひっかからないので、どうでもいいです。いっそ、ほんとに素っ裸で出れば、まだオモロかったのにねえ。
以上、正月早々紅白を熱く語る戦後の動乱期生まれのオヤジが、今年も行きます!
January 4, 2007 05:47 PM