NEIL YOUNG
ビートルズ[LOVE」とほぼ同じタイミングで、ニール・ヤング アンド クレージーホースのライブアルバムがリリース。てっきり今年の夏、強烈なブッシュ批判の内容で話題を呼んだ最新作「リヴィング ウィズ ウォー」のライヴかと思いきや、まったく真逆、1970年、伝説のフィルモアでの発掘ライヴ音源でした。
こんな音源残ってたのがまず驚きですが、この日のラインナップが、まったくもってアリエマセン。前座のスティーヴ・ミラー・バンドはまだしも、次がマイルス・デーヴィス・クインテット!そしてトリがクレージーホース。英文ライナーによれば、詰めかけたロックファンはさすがにマイルスにはドン引きだったそうですが、そりゃあそうでしょう。今では有り得ないような対バンだもんなあ。でも、当時のフィルモアはそうゆう混沌とした状況を、まるごと呑み込んでしまう魔力みたいなものが、確実に存在したんだと思います。
内容はといえば、全六曲五十分弱というCDとしては短めのフォーマットながらも、歌もギターも音程はずしまくりの怒涛の展開、ひたすら熱く迫ります。ロックが最もロック的だった時代の息吹みたいなものが、あります。
アルバム・ジャケットがまたイカしてます。出演スケジュールを表示した、当時の定番のネオンサインの写真をあしらったものですが、そこに載ってるメンツが渋い!クレージーホースはもちろん、ジョン・メイオール、ムーディ・ブルース、ジョー・コッカー、そしてブライアン・オーガー!古くからロックファンを営んでいらっしゃる皆さん、間違いなく遠い目になられることと思います。
そうだ、ブライアン・オーガーって来年二月に来日するんですね。ブリティッシュ・ロックの至宝、デヴュー四十年にして初来日!伝説のフィルモアのステージに立った男が、時を超え海を越え、渋谷に現れます。なんか、うまく言えないけれど、凄いことのような気がしてきました。
このアルバム、ちょっと早いですが個人的には最高のクリスマスプレゼントとなりました。そういえば、クリスマスプレゼントなんてもう何年も縁がないなあ。(淋)
November 27, 2006 11:52 PM
M・C・エッシャー
今月から目と鼻の先のBunkamuraザ・ミュージアムで、オランダの奇才版画家M・C・エッシャーの展覧会が開催中です。いわゆる騙し絵の作家としてここ日本では何度も展覧されてきましたが、今回はCGによる映像なども交えて、その最初期から晩年に至る創造の足跡を時系列に沿いながらいくつかの時代で区切り、実にすっきりと分りやすい展示がなされています。
なかでも印象的なのは最初期の作品群。すでにそれらの中には、後期の代表作に通底する構成要素が確実に刻まれていて、驚いてしまいました。優れたミュージシャンは処女作に傑作が多い、っていうあれと一緒ですね。
この人、もともと建築を目指しただけに、もし今生きていたらコンピュータを駆使してとんでもなく突飛な造形物を生み出したのでは、などという妄想をも抱かせる、素敵な展覧会でした。
混雑が予想されたので平日の昼間を狙ったのですが、それでも相当な混み様でした。ひとつ、ちょっと残念なのは、平日だからなのか子供たちの姿がほとんど見られなかったこと。こんなにイマジネーションを刺激する作家の展覧会、子供たちに見せてこそ価値があるっちゅうもんでしょう。授業の一環として、引率して連れてくればいいのになあ。印象派も結構ですが、いつまでもそれじゃあどうかって感じがします。
事のついでに、世紀末ウィーンを生き、その耽美的作風で知られる画家ギュスタフ・クリムトの映画「クリムト」を観にル・シネマへ。
この映画は正直言ってキツかった。なにせ制作場面はおろか作品すらまともに出てこない、ただひたすら作家の奇妙な回想を追った内容で、奇を衒った映画的なシーンばかりが鼻につく、かなり難解な印象の作品でした。
なんかに似てるなあと思ったら、以前この日記でも触れた「ブライアン・ジョーンズ ストーンズから消えた男」にコンセプトが近い気がしました。映画監督が、映画的効果を狙っていろいろこねくり回したくなるのも分りますが、こと音楽や芸術には作品そのものにこそ物語があるわけですから、出来ればシンプルに分りやすく作ってもらいたいものです。マーティン・スコセッシのように、ね。
もちろん映画ファンはまた全然違った見方をするんでしょうね。残念ながら映画オンチの自分には、最後までワケわからん一編でした。
November 23, 2006 11:56 PM
[LOVE]
今月に入ってから突如「ザ・ビートルズ最新作 十一月二十日世界同時発売」というアナウンスが各メディアを駆け巡りました。普通のビートルズファンは、何のこと?メンバー二人しか残ってないじゃん?って感じだと思います。その通り、これソフトバンクの0¥に匹敵するヤリスギ広告でしょう。
しかして、その実態は?「アレグリア」などの演目で有名なカナダのサーカス一座「シルク・ドゥ・ソレイユ」がビートルズの楽曲からのインスピレーションをもとに「LOVE」という演目を創作するにあたって、アップル側に原曲使用の許可を依頼。世界一版権管理にうるさいアップルが奇跡的にこれを了承、縁のジョージ・マーティンを頭としてお宝原盤マスターを縦横無尽に駆使して創り上げた、いわばお墨付きのリミックス・アルバムってことです。
ただ、これだけならさすがに「最新作」というキャッチは出てはこないでしょうが、そのくらいハッタリかませてもいいだろう的なことをリミックスでやっちゃったんですね。
聴けば即判るのですが、例えば「ゲットバック」に「ハードデイズナイト」のギターや「ジ・エンド」のドラムがコラージュされてたり、「ブラックバード」が始まったと思いきや「イエスタディ」に繋がったり、全編これビックリ箱状態が、切れ目なく約八十分間弱、まさにDJ感覚で続いてしまうのであります。
同一アーティストの違う曲をミックスすることをマッシュアップというそうですが、そうした技法を駆使してお馴染みの曲のまったく違った魅力を引き出そうという目論見、そういう意味で「最新作」と言いたいんでしょう。気持ち、分ります。でもこれ頑固なファンはどうなんでしょうね。複雑な思いを抱くのでは。まあ、いやなら聴かなきゃ済むことではありますが。
ところでお前はどうなんだと問われれば、怒りながら笑って聴いてます(怒笑)。でも細かいことはともかく、八十分間まったくダレることなくあっという間に聴き終えてしまう曲の持つクオリティの高さには、今更ながらあきれるばかりです。
固いこといわず現代版ベストアルバムぐらいの感じで楽しませていただきます。
なお、よりコアなファンは、今月のレコードコレクターズ誌で特集されてますので、心ゆくまで存分にお楽しみください。
November 20, 2006 05:13 PM
ごぜ三味線ライブ
昨夜は当店で三回目の、月岡祐紀子さんによる「ごぜ三味線弾き語りライブ」でした。客入りをちょっと心配されてましたが、フタを開けてみれば座れないほどの盛況。回を重ねるごとにだいぶ定着してきた感じで、催しとしては秋の夜長にピッタリのものとなりました。
新潟県上越市あたりを中心に、雪降りしきる中盲目の女旅芸人が民謡や語り物を三味線片手に歌い綴り角付けして歩く、想像を絶するほどの厳しい伝統芸能の世界。その盲目の女旅芸人「ごぜさん」の存在に魅せられた月岡さんは、何度も現地に足を運び、現存するごぜさんに接して芸を磨き研究を重ねてきたわけですが、ご自身まだ三十歳、こうした若い方の伝統芸能にたいする地道な活動には、ほんとうに頭が下がる思いです。
邦楽の分野も、最近は吉田兄弟のようにムリクリ今風にプロデュースして売り出すことで世間の耳目を集めるようになってきました。それはそれでアリでしょうが、ここはもう一歩広がって、街の中で自然に、構えることなく邦楽器の響きに耳を傾けることのできる場が増えたらいいなと思います。月岡さんには、ぜひその急先鋒として頑張ってほしいな。
なお、月岡さんがごぜさんの旅を追体験して綴ったエッセイが、かつて朝日新聞に一年間連載されてましたが、それを纏めた「平成娘巡礼紀」という本が文春新書からでていますので、ご興味をお持ちのかたはぜひご一読ください。
November 19, 2006 07:44 PM
TRANCE FUSION
先日レコ屋を覗いたらFRANK ZAPPAのライヴテイクをコンパイルしたCDがリリースされてました。その昔「HOT RATS」にハマって以来、しばらく追っかけてましたが、目の回るような膨大なリリース量について行く術なく、最近はベスト盤や「ボンゴフューリー」あたりを時折聴いたりしてお茶濁すような状態でした。そんな感じだったので、やっぱり久々に熱く燃え上がるライブパフォーマンスをこれだけうまく並べられると、気持ち良過ぎて遠い目になってしまいます。
内容は1977−88年のライブから16曲をザッパが生前にリリースを計画していたものらしく、音質のバラつきもなく目くるめくザッパワールドが展開されます。おそらくすべて初出音源だと思いますが(そのあたり検証するデータ持ってないので、FBDJさん、こんど教えてください!)、改めてそのクオリティの高さには、驚きを通り越してあきれてしまうほどです。
この人ほどワンアンドオンリーという呼び名が似合うミュージシャンも少ないと思いますが、さて今の若いロックファンの耳には、いったいどんな風に響くのか、ちょっと興味湧いてきました。ジャムバンド好きとかにはどうかな?違うのかな?おっと、ザッパファンの方から違う!と怒られそうだな。ヤバいヤバい。一度息子に聴かせてみましょう。
ザッパの音楽以外のどれとも比較のしようがないザッパの音楽。長いロックの歴史にあって、その存在は最大のトゲとしてあり続けてきたし、きっとこれからもそうなのでしょう。
November 17, 2006 07:59 PM
祝!モイスト四周年ライブパーティ
日頃から何かと交流のある神楽坂の音楽バー「モイスト」がめでたく四周年を迎えて、そのお祝いライブパーティが赤坂B−FLATにて行われました。四時間を越す長丁場のイベントでしたが、なかなかにバラエティに富んだ内容で、満員の客席も大盛り上がりの一夜でした。
出演バンドは、ジェフベックありサンタナありソウルスタンダードあり、みんな知ってるお馴染みのナンバーが次々に披露されて、思わず頬が緩みます。後半にはディスコオリエンテッドなナンバーが並び、ステージ前はみんな入り乱れて、さながらミニディスコと化していました。
会場がジャズ箱とあって、ロックやソウル系の曲は音響的に不満な点もありましたが、あの状況下では出演者全員ベストのパフォーマンスだったのではないでしょうか。
当店の常連さんも何人か出演。ジャンピン・ジャイヴのエプロンズからはセレクトメンバーが熱演、変わらず安定感溢れるプレイで客席を沸かせていました。ギターのK君、前日急に決まったソロパートもカッコよかったです。それから同じくギターで参戦のSさん、調子の悪いアンプにもめげず終始楽しそうにプレイしてました。16ビートのカッティング、さすがに決まってます。難しいコードを、そうと感じさせずに軽がると弾き倒すところに年季とテクニックを感じさせます。ほんと皆さんナイスプレイでした。
「モイスト」の四年間が凝縮された素敵なパーティ、おそらく人に言えない苦労もいろいろあったことと思いますが(同業だから分ります(笑))、何はともあれ大盛会で、ほんとうにおめでとうございました。
November 9, 2006 07:52 PM
シターラ
シターラという楽器をご存知でしょうか。元フラワートラヴェリンバンドのギタリスト(と書くと「なにを今更」とご本人から叱られそうですが)、石間秀機さんが開発された、ギタースタイルのエレクトリックシタールのことです。その石間さんと久しぶりにゆっくりお話ができ、常連のK君も加わって楽しいひとときを過ごしました。
石間さんには代官山ポレポレ時代には定期的にシタールのライブをお願いしていたのですが、なんとか国境の南でもと思ってご相談の結果、来る十二月九日(土)にシターラのソロライブが実現の運びとなりました。シターラの幽玄かつ深遠な響きによる”景音楽”を、ひとりでも多くの皆さんに楽しんでいただければと思っています。
石間さんといえば、七十年代始めに日比谷野音で今や伝説となった熱いステージを体験していた僕のような人間にとっては、日本のロックを語る上で避けて通れないギタリストのひとりですが、いわゆる再結成とかいって昔の名前に安住するミュージシャンなどとは対極にあって、今もなお、というより今まで以上に熱い姿勢で新しい音楽を創造し続けているところに、ひとりの音楽家としての真のミュージシャンシップを感じたりします。
最近は音響メーカーTASCAMの新しいトランジスターアンプの開発に、モニタープレイヤー兼アドヴァイザーとして関与しているそうで、音に対する拘り方も半端じゃありません。西洋音楽と東洋のそれとの、リズムや音階の面での違いの話もすごく面白くて勉強になりました。
そして、今また若い(といっても四十代後半)の有能なミュージシャンを集めて新バンド[VIEW」を結成、十一月二十一日(火)に原宿クロコダイルにてお披露目ライブを行うとのこと。
精神としての「変わっていく変わらないもの」を内に秘めて、その勢いは止まるところを知りません。
November 1, 2006 08:13 PM